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クラウドPBXにかかるコストは?各社比較と運用の価格相場

2023年3月31日更新

クラウドPBXの導入を検討している方にとって、導入コストは重要な検討項目ではないでしょうか。クラウドPBXといっても、サービスを提供する会社は数多くあり、各社さまざまな特色を打ち出しています。

どういった企業がどのようなサービスを提供しているのか、導入コストの相場はいくらぐらいかなど、会社規模や予算に見合ったサービスを理解し、最適なクラウドPBXを導入できるよう解説していきます。ぜひ参考にしてください。

(注:価格表示は税抜です)

主要クラウドPBX7社の価格比較(初期費用・月額料金)

クラウドPBXの価格はサービス提供会社やそのプランによってさまざまです。まずは、クラウドPBX全体の価格体系の概要を示し、その後主要クラウドPBX会社の内、7社の価格について説明します。

クラウドPBXの価格体系の概要

導入コスト(一過性のコスト)

初期費用

サーバーの構築、インターネット回線の取得、その他システム・アダプターの設定など

デバイス料

IP電話機、スマートフォン端末、PCなど接続に必要なデバイスの購入費

ランニングコスト(変動費)

月額料金

利用する内線の契約台数や回線数などに応じた料金

通話料

外線の通話料金。IP電話に準じているケースが多い

オプション料

基本機能以外に任意で選択したサービスにかかる費用

留意点

サポート体制、サーバーの安定性、通話品質、セキュリティ対策、拡張のしやすさなど(オプションや月額料金に含まれる場合もある)

このうち、初期費用と月額料金の違いを中心に7社を比較していきます。

クラコールPBX|株式会社三通テレコムサービス

クラコールPBXは、基本的な電話機能を低価格で提供します。

費目料金備考
初期費用無料
月額料金(基本料)980円6ユーザー以降は、通常980円のサービス基本料が無料となる(サービス基本料は月最大4,980円)

月額料金(サービス基本料)が最大4,980円と上限があるため、6ユーザー以上の支払い額は一律4,980円です。

トビラフォン Cloud|トビラシステムズ株式会社

迷惑電話のブロック機能がついているトビラフォンCloudはスマートフォンで多彩な機能が利用できます。

費目料金備考
初期費用30,000円050番号10、同時通話チャネル5まで
月額料金(基本料)3,000円
27,000円
内線番号2、市外局番利用なしの場合
内線番号20まで

モッテル|株式会社バルテック

バルテック社はPBXにおいて15年以上の開発・販売・サポートと27,000社以上の導入実績がある会社です。

費目料金(スタンダードプラン)備考(既存の03、06番号などを引き継ぐ)
初期費用29,800円~別途工事費が必要
月額料金(基本料)3,980円20IDまで

データーセンターも全国に分散しているため、BCP対策としての導入実績も多数あります。

BIZTEL ビジネスフォン|株式会社リンク・ブライシス株式会社 100

BIZTELビジネスフォンは、利用する回線数など必要に応じて料金設定がされており、拡張性が高いサービスです。

費目料金(ライトプラン)備考
初期費用50,000円
月額料金(基本料)21,000円最大内線数40

APIなど外部連携も充実しています。

Dialpad|Dialpad Japan 株式会社

Dialpad社は米国企業で、日本ではソフトバンクが総代理店であり、サポート体制も安心です。

費目料金備考
初期費用

開通工事費:1,000円
一括転送工事料:1,000円
番号ポータビリティ工事費:2,000円

左記は1番号毎の料金
番号ポータビリティ可能な番号は、NTT東日本・NTT西日本の払出し番号のみ

月額料金(基本料)基本料:500円
ライセンス料:1,000円
10ID
フリーコール番号通知:100円
一括転送:500円
1番号につき

なお、ソフトバンク携帯への通話は無料になります。

03plusエンタープライズ|株式会社グラントン

03plusエンタープライズは、全国主要46都市の電話番号をオンラインで取得出来るサービスです。

費目料金備考
初期費用5,000円~150,000円(30IDの場合)
月額料金980円/月
700円/月(追加1ID)
21,280円/月(30ID/電話番号数1の場合)

ひかりクラウドPBX|NTTグループ

ひかりクラウドPBXは、NTTのひかり回線の利用が必要です。

・新たに電話を構築する場合で10IDあたりの料金

費目料金備考
初期費用19,500円基本工事費:4,500円
新設工事費:15,000円
月額料金19,050円/月ID利用料:15,000円
LAN給電装置(8ポート):1,500円
IP電話機レンタル代(3台):2,550円(1台850円)

フレッツ光ネクストなどの契約がない場合は、上記に加え、ひかり回線やプロバイダーサービスの月額料金が発生する点に注意してください。

なぜクラウドPBXの提供元ごとに価格差が生じるのか?

価格差が生じるのは主に以下の理由が挙げられます。

1. 品質の違い

音声がどの程度クリアであるか、また音飛びが起こらないかなどの音声品質やシステムの安定感や信頼性、またセキュリティやサポートといったサービス全体の品質の高さによっても価格は変動するでしょう。

2.機能の豊富さ

クラウドPBXには様々な機能がありますが、機能が充実しているか否かでも価格差が生じます。例えば以下です。

  • 録音・自動応答機能
  • ビデオ機能
  • チャット機能
  • 転送機能
  • カスタマイズ機能

などサービス提供会社によって様々です。

3. 利用者側の必要数

必要回線数、番号数、拠点数などによって料金は変動します。少ない利用者数が有利なプラン、多拠点の方が割安になるプランなど各社の特色を理解して、選択するといいでしょう。

4.経営戦略

クラウドPBXビジネスは、競争が激しい市場です。競合の動きによって適切な価格設定をしなければ顧客を獲得することができません。そのため経営戦略によっても各社価格設定が異なるのです。

クラウドPBX導入にかかる運用コストの価格相場は?

各社の営業戦略やプランによって価格差が生じるので、ここでは価格のおおよその相場などを紹介します。

導入時にかかる費用は50,000円を目安に

導入時にかかるトータスコストの内容は、サーバーの構築、インターネット回線の取得、電話機同士の接続のためのシステム設定などです。

したがって、サービス提供会社のサーバーに構築すべき作業量に左右されます。およそ50,000円程度を見込んでおくと良いでしょう。

従業員数が10人以内で50,000円程度

たとえば、03plusエンタープライズの初期費用は1回線あたり5,000円となっており、従業員が10人程度の場合、5万円となります。

ただし、クラウドPBXに対する費用以外に、既存の固定電話番号をIP電話に出来る(番号ポータビリティ)場合、サーバーへの設定費用などが発生し、新規にIP電話番号を取得する場合でも、番号取得費が導入時点で発生します。

従業員数が30人を超えるとで200,000円以上かかる場合も

たとえば、モッテルのミドルプランは20名~40名様の企業向けの設定で、初期費用は39,800円からですが、別途固定からVoIP(インターネット上で音声通信を行う技術)へのゲートウエイ設置工事を行う場合、22万円以上が必要となると言われています。

月額料金は平均2,000円/1回線

月額料金は、契約する内線の台数や回線数に応じたもので、サービス提供会社により差が生じやすい項目です。

また、回線に代表電話、0120/0800の着信払い番号、良番(覚えやすい番号など)をクラウドPBXに設定した場合と担当者個別の番号では料金が違うケースが大半です。

お客様窓口やコールセンターなど不特定多数の消費者から着信を受ける企業と、特定の企業間や電話本数の少ない企業でも差が出ますが、平均して1回線2,000円を見込めばよいでしょう。

外線通話料は相手によって変動

クラウドPBXの通話料は、IP電話をインターネット上で展開しているため、IP電話の通話料に準じています。

つまり、内線通話料は無料です。外線は、固定電話へ発信の場合、多くは8円/3分、携帯電話に発信した場合、1分で16円〜18円です。

ここでもサービス提供会社により差が出ます。特にアプリをダウンロードするだけでスマートフォンが内線化出来る場合、社外の営業マンと社内の事務員の通話も内線扱いに出来るので無料領域が拡大します。

また、Dialpadはソフトバンクが代理店となって日本で展開しており、ソフトバンク契約の携帯電話への通話料は無料です。

クラウドPBX対応のIP電話本体は50,000円弱

IP電話機、スマートフォン、タブレット、PCなどさまざまなデバイスと連携できるのもクラウドPBXの魅力の一つですが、導入当初にデバイスを揃える必要があります。

たとえば、IP電話機本体の現行モデル1台あたりは50,000円程度です。ただし、中古で購入する場合は20,000円程度、リースで導入するなどで費用を削減できます。

その他オプション契約でのコストが発生

オプション料金は、各社が揃える基本機能以外に自社に必要な機能を付加する場合に発生するランニングコストです。

ここで注意する点は、同じような機能がA社では基本機能、B社ではオプションとなるケースもあるので、自社にとって重要な機能が基本機能なのかオプションなのかよく見極めましょう。

たとえば、自動音声通話(IVR)機能は、BIZTELビジネスフォンでは基本機能に含まれますが、モッテルではオプションです。IVRの場合、オプション料金として月額2,500円程度かかります(メッセージを新規作成する必要がある場合は別途費用が必要)。

プラスαで発生する追加料金

利用する電話番号が03発信の場合と06や050発信では、03と比べて追加費用が発生する場合があります。たとえば、BIZTELビジネスフォンでは、06やその他の地域の番号を追加すると、1番号につき3,000円の初期費用と、1,000円の月額利用料が発生します。

また、03plusでは10分かけ放題プランが毎月1,000円で利用できますが、10分を超過した場合には20円/30秒の料金が発生するため注意が必要です。

自社に合った機能をできるだけ低コストで導入するコツ

自社に必要な機能がどのプランにあるのか、コストをトータルで見積もり、将来機能や利用台数など拡張性も考慮したシミュレーションも実施しておきましょう。

各社の基本プランに含まれる機能をチェックする

基本機能のうち、自社に必要な機能があるか、不要な機能がないかなどをよくチェックして、出来るだけ必要な機能が基本機能として設定されているプランを選ぶようにしましょう。

たとえば、不特定多数の消費者などから代表電話やお客様相談室などに電話が多く着信する場合と、デザイン事務所・町工場など比較的特定の相手と発着信する場合、あるいは、テレワークを重視する場合などそれぞれ優先する機能が異なります。

初期費用のみならずトータルコストで検討する

クラウドPBXは自前のPBXの設置が不要で初期費用を抑えられるできる点が最大のメリットですが、自社での使用状況(回線数、テレワーク対応、コールセンター機能など)を考えて、優先すべき機能やオプション項目を選定したうえで、トータルコストで比較検討しましょう。

また、音声品質、サポート体制、セキュリティ対策、BCP対策などに関して自社の基準を満たしているかなど、会社の重要な通信インフラとしての側面も考慮しましょう。

回線数やプランの変更で料金がどう変動するかも知っておく

ベンチャー企業や成長中の企業では、今後従業員や拠点が増加した場合などに備えて、料金がどのように変動するのかをシミュレーションしておきましょう。

急成長が予想される企業では、業務もダイナミックに変動します。導入当初は少人数の企業に適したプランが良くても、従業員数が増加した場合には1回線あたりで割高になったり、オプションの拡張が必要になったりするケースがあるので注意ください。

BYODの導入も検討してみる

BYODとは、Bring Your Own Deviceの略で、個人が私物として使用しているスマートフォンやPCをクラウドPBXと接続して業務用にも利用することを意味します。デバイス購入費を抑制するメリットがあります。

しかし、情報漏洩などのセキュリティ対策が課題となるため、利用には従業員教育の徹底などが必要です。

クラウドPBXにはどんな導入メリットがある?

1. 無料通話である内線通話の領域が拡大

インターネットに接続できるデバイス内の通話が全て内線扱いになるため、転送費用や拠点間の通話料などが無料になります。アプリをダウンロードしたスマートフォンと会社間やスマートフォン同士の通話も内線扱いになります。

2. BYODの活用

BYODを導入すれば、デバイス購入コストの削減につながります。

3. 顧客情報との連携

CTI機能(※)などで通話内容の保存や顧客情報管理の一元化が可能です。ただし、オプションの場合が多く、連携可能メニューはサービス提供会社によって異なります。

※CTI(Computer Telephony Integration):電話とコンピューターをつなぎ、それぞれが連携して動作するように統合・制御する技術、またはシステム)

4. メンテナンスコストの削減

PBXはクラウド上にあるので、オンプレミスのような定期的なメンテナンスや修繕に費やすコストが削減できます。

失敗しないためにクラウドPBXのデメリットも知っておこう

1. 通話品質

インターネットの環境に依存するため、利用場所が地下の場合や周辺に障害物などがある場合などでは通話品質が影響を受けます。音飛びなど通話が乱れる場合があります。

2. 緊急通報が利用できない

多くのクラウドPBXでは110や119などの緊急通報が出来ません。これはIP電話に位置通報提供機能がないからです。

3. 利用頻度とランニングコスト

オンプレミスの場合、導入後は通話料金のみの支払いですが、クラウドPBXの場合は回線を契約しているだけで月額料金が発生し、オプションも月額ベースで発生します。導入後に、実は利用頻度が低かった、といった場合はかえってコスト高にもなります。

価格のみに偏らず譲れないポイントを踏まえよう

価格はさまざまな要素で構成されます。自らの通信環境に適した機能の優先順位を明確にしましょう。

たとえば、事業を開始したばかりのベンチャー企業では価格や使いやすさを重視、株式公開も視野に入る成長企業なら上場審査にも耐えうるセキュリティ対策、一般消費者からの電話対応が多ければコールセンター機能、テレワークの導入を検討する場合はBYODなどが必要でしょう。

業務効率化が目的なら電話代行サービスもご検討を

導入を検討している理由が、電話周りの業務効率化や迷惑電話対策などであれば、必ずしもクラウドPBXにこだわる必要はないかもしれません。

通話品質を保ちたい、余計な月額料金やIP電話機のコストを抑えたい、ネット環境があまり良くない、などの理由でクラウドPBXの導入に迷っている方は、電話代行サービスを検討してはいかがでしょうか?

会社や個人にかかってきた電話をプロのオペレーターが代わりに受電し、必要な電話だけをSlack・Chatwork・Line WORKSやメールなどでお知らせしてくれます。煩わしい営業電話や、休憩中の電話に頭を悩ませることもなくなるでしょう。

テレワークの環境下で電話の対応に困っている、特定部署への電話が集中する、業務効率化に積極的に取り組んでいるなどの場合は、電話代行サービスがおすすめです。

まとめ

クラウドPBXの価格体系は、大きく導入一時費用とランニングコストに分かれます。

それぞれサービス提供会社によって価格差が出るため、導入前に細やかな見積りを取るようにしましょう。

価格を低く抑えるためには、利用者数や優先すべき機能、あるいは将来の拡張性を検討したうえでトータルコストで検討してください。その際にはセキュリティ対策、サポート体制、サーバの安定性、通話品質など通信インフラとしての側面への対応を忘れないようにしましょう。

またクラウドPBX導入と同時に、電話代行も検討することをおすすめします。

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