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リモートワークの電話対応で解決すべき課題は?5つの対処法も紹介

2023年3月13日更新

コロナの沈静化とともにリモートワークの実施状況は低下傾向にあります。一方、テレワークを経験した従業員の多くはテレワークの継続を望んでいる方も少なくないでしょう。
20代から30代の中途採用を実施する企業では、リモートワークを求人票に掲載する企業が2年近くで約10倍に増加したようです。
企業側のリモートワークの導入・継続の課題の一つにリモートワーク中の取引先からの外電や従業員同士の電話対応が挙げられます。
ここでは、リモートワーク中の電話対応について、5つの対応策を紹介するのでリモートワークの実施や継続に悩んでいる会社の担当者の方はぜひ参考にしてください。

リモートワーク・テレワークの現状はどうなっているのか?

コロナも沈静化に向かい、多くの企業ではリモートワークを見直す傾向にありますが、一方の従業員側はリモートワークの継続を望んでいるようです。

企業と従業員の意識の差についてや、リモートワークの需要について詳しく見ていきましょう。

今後も継続の移行の企業が約25%、従業員との意識差も

人材総合会社パーソルグループのパーソル総合研究所によると、2022年7月時点でのテレワークの実施率は全体で25.6%となっています。従業員数の少ない企業ほど実施率は低くなっていますが、さまざまな規模の企業で減少傾向にあります。

(参照:パーソル総合研究所:「第七回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する調査」赤枠は筆者加筆)

従業員数の少ない企業は大手企業の半分から半分以下の実施率となっています。

企業側のテレワークへの方針について見てみると、約33.3%がテレワークを推奨または命令していますが、これも減少傾向にあると指摘されています。

一方、テレワークを経験した従業員側は、テレワークの継続を希望する割合が80.9%にのぼり、調査開始以来最高水準を更新しているようです。

つまり、経営側と従業員側のテレワークに対する意識にギャップが生じています。

20~30代のリモートワーク・テレワークへの求職希望は多い

同じくパーソルグループのパーソルキャリア株式会社が運営する転職サービス「doda(デューダ)」による「第3回リモートワーク・テレワーク企業への転職に関する調査」(2021年10月時点の調査)でも、20代から30代の方にインターネット調査を実施しています。

同調査によると、転職希望者の応募時点での意向にリモートワーク・テレワークの実施が影響するか、という質問に、「とても影響する 33.0%」、「やや影響する22.7%」と計55.7%の回答がありました。

リモートワーク・テレワークありの求人掲載件数も求人応募数も2020年1月から約10倍に増加しています。

(参照:転職サービス「doda」、「第3回リモートワーク・テレワーク企業への転職に関する調査」より)

つまり、20代から30代の転職希望者の転職先へのテレワーク実施希望率は高く、テレワークを導入している企業の求人件数や応募件数も増加しています。

リモートワークで重要となる電話対応

リモートワーク・テレワークには、通勤時間の削減などによる効率面でのメリットがある反面、社内外のコミュニケーションは不足しがちになります。細かい意思疎通の相違が大きな仕事上のミスにもなりかねません。

メールやチャットツールでは、伝達に時間がかかったり、相手の感情が読み取れなかったりするケースもあり、非対面でのコミュニケーションでは依然電話の果たす役割は大きいといえるでしょう。

リモートワークを今後も続けながら売上拡大を目指すには、「適切な電話対応が可能な状態」を組織として作らなければなりません。

電話対応がリモートワーク推進の妨げとなっている?

しかし、その電話への対応が企業のリモートワーク推進の課題となっています。特に社外からの電話への対応には各社苦心しているようです。対処法についても、この後解説しますが、まずはどのような課題があるのか詳しく見てみましょう。

電話対応のためだけの持ち回り出社

営業などでは会社支給で携帯電話があるケースが多く、大きな影響はないと想定されます。
しかし、代表電話、経理、総務などの管理部門への電話は、オフィスに出社して対応せざるを得ません。

こうした電話の対応をするために、従業員が持ち回りで出社して電話番をしている企業があります。

特定の従業員に負担がかかってしまう

持ち回りで出社している従業員は電話への対応に時間が追われてしまい、自分の業務に充当する時間が不足がちとなり、仕事へのストレスも増加するなど負担がかかり、業務の停滞要因になる可能性があります。

また、リモートワーク中の特定の従業員の携帯端末に電話が集中することもあり、電話対応の負担がリモートワーク以前と比べても増加してしまうのです。

リモートワークで電話対応が満足にできないことによるリスク

これについては大きく3つあります。

まず、顧客との信頼関係を損ねる可能性が挙げられます。営業関係の取引先なら担当営業者の携帯で連絡を取るケースも多いですが、代表電話への対応が不十分になれば、取引先との信頼関係に悪影響を与えかねません。

次に、Webによる問い合わせフォームでの受付に頼った場合、電話と比べて回答が遅くなりがちです。また回答内容も紋切り型で顧客の疑問や要望への回答に十分でないケースも考えられます。
電話だと声で反応がある程度分かるものの、Webでは連絡は互いに一方通行になってしまうのです。
したがって、電話対応を減らし問い合わせフォームに頼りすぎてしまうことは、顧客満足度の低下を招いてしまうリスクがあります。

最後に、マーケティング活動やメディア出演などにより、顧客から問い合わせや連絡が来るケースもありますが、十分な電話対応ができないと機会損失につながりかねません。
特に、一般消費者向けや不特定多数の顧客に商品やサービスを提供するB to C型の企業は一般消費者から直接電話を受けるケースも多く、機会損失のリスクはなおさらでしょう。

リモートワーク電話対応の課題を解決!5つの対処法

先述した課題を理由にリモートワークの実施を見合わせていませんか?しかし電話対応への課題は解決することができます。ここでは5つの解決策を具体的に説明しますので、ぜひ参考にしてみてください。

1.転送サービスを導入する

顧客などの外部からの固定電話への電話を別の番号に転送して受信ができるサービスです。転送先を従業員の携帯端末に設定が可能です。

メリットは、どこにいても電話を受けることができることです。また、「平日だけ」「夜間だけ」など日時を特定して転送するなど柔軟な設計ができます。

一方、通話料金などが割高になるデメリットも考えられます。転送1件ごとに受信側に料金が発生するためです。転送サービスそのものに発生する料金と、転送した電話回線から受信中の従業員が通話した分の通話料金も発生します。つまり、受信側は転送サービス料に加え、受信した電話の通話料金も発生します。

2.クラウドPBXの導入を検討する

「PBX」とは構内交換機のことです。クラウドPBXはインターネット通信を活用し、会社に着信した外線を内線に交換し、リモートワーク中の従業員が外線と通話したり、内線同士で通話が可能です。

メリットは、クラウドを利用するため初期投資が少なくてすみます。スマートフォンにアプリをインストールするだけで利用できます。個人が発信した電話を会社の代表番号から発信したように操作します。

一方、インターネット環境のため、通信状況で音声品質に影響がある場合もあります。また、個人情報漏えいなどのセキュリティ面はベンダーの品質次第であり、ウイルス対策など強固なセキュリティ体制があるかを確認する必要があるでしょう。

ハードウエアの購入など初期投資は発生しませんが、月額使用料金、通話料金、オプション料金などの維持費用が割高になる可能性はあります。

3.転送や内線化をできるアプリを導入する

固定電話番号を携帯端末から発着信できるアプリを導入する方法もあります。アプリをスマートフォンにインストールするだけで利用できます。

固定電話で受信したものを個人端末に転送、従業員個人のスマートフォンなどを利用し、内線化、外線の取り次ぎなど従来の職場と同様の通信環境を整えることができるアプリもあり、とても便利です。

ただし、アプリに不具合が生じたり、アプリの容量が大きく端末操作に影響が出る場合や通話料金の負担などの課題もあり、十分検討してください。

4.バーチャルオフィスに移行する

実際のオフィスを構えずとも、事業に必要なオフィスの機能が活用できるサービスで、法人などの登記に必要な住所の貸出から電話秘書代行までカバーしているサービスもあります。

業務がテレワークだけで完結できる場合、家賃が不要となりコスト改善ができます。

また、会社の代表電話への着信を転送するサービスも利用でき、固定電話と同じように担当者が携帯端末で受信して、他の従業員へ取り次ぎや通話も可能です。

しかし、バーチャルオフィスを利用する他の法人と住所が重複したり、突然来客があった場合は従業員が不在で対応が困難でしょう。

さらに、銀行口座の開設や許認可の取得申請、社会保険などの各種手続きを行う場合、実態確認などに時間や手間を要するケースもあり、既に企業として一定の規模や顧客基盤を保有する場合は課題も多いです。

5.電話代行サービスを活用する

電話代行サービスとは、企業の代表電話や従業員への電話にオペレーターが代わって対応するサービスです。「秘書代行」、「秘書電話代行」と称される場合もあります。

電話代行サービスをリモートワークで活用する6つのメリットを説明します。

1:時間の有効活用

会社に着信した電話にオペレーターが対応するため、従業員は自分の業務に専念できます。

2:コストの削減

必要な時間だけ活用できるので、従業員として雇用するより削減につながります。

3:プロのオペレーターで顧客信頼度・満足度アップ

プロのオペレーターが担当するので、高品質な対応により会社に対する信頼性や顧客満足度のアップが期待できるでしょう。

4:幅広い転送方法がある

従業員の作業スタイルに応じて転送方法が選べます。たとえば、会議中はメールで転送するなどです。

5:サービスが柔軟で企業のニーズに合わせられる

短時間や特定の曜日だけ電話代行サービスを利用したい、というニーズにも柔軟にサービスを提供してくれる電話代行サービス会社もあります。

6:多言語化対応、商品説明なども可能

会社によっては、単なる電話取り次ぎだけでなく、英語、中国語などの多言語化対応が可能なケースや、商品の説明などの専門業務ができる会社もあります。

リモートワーク実施前に整理しておきたい3つのポイント

リモートワークを実施する際、事前に会社に合ったリモートワークの電話対応をするためのポイントを3つ記載します。

個人端末の利用について話し合う

業務で使用する端末を会社側が準備するのか、個人の端末も利用するのか、メリット・デメリットを比べると良いでしょう。

会社支給の場合は、経費の精算などは不要になりますが、端末導入の初期費用が発生し、従来個人端末で取引先と通話しているような場合は、番号の変更通知など煩雑になります。

個人所有の端末を業務転用するBYODの場合は、簡単に低コストで導入が可能ですが、オン・オフの切り替えや会社の情報セキュリティやプライバシー保護の観点から課題は残ります。たとえば、顧客情報管理がひときわ厳しい金融関係の業種は個人端末を転用するのは難しいケースが多いでしょう。

ランニングコストはどのくらいになるか

どのサービスを使うにしてもコストは発生します。自分の会社の方針、現状の通話料金との比較などの視点が考えられます。

ここで紹介した5つの対応策はいずれも特別な機器などを購入する必要がなく、低額な一定の月額料金にオプションサービス料などを加えたランニングコストが基本的な料金設計となっています。

いずれのサービスにも転送サービスは付加されていますが、会社に着信した電話をリモートワーク中の従業員に転送する場合、転送サービス料(例:NTT「ボイスワープ」など)や受信した会社の固定電話が従業員に転送した通話料金の発生(つまり、会社が受信した電話に通話料金が発生する)などコストが発生します。

しかし、リモートワークを導入することによるさまざまなメリットも費用対効果には含まれるべきです。リモートワーク実施によるコスト削減(交通費など)、業務効率化による従業員個人の作業改善、中途採用の志望者増加効果などプラス面も含めて総合的に費用対効果を比べると経営者も判断しやすくなります。

会社の電話番号からの発信方法を検討しておく

会社に電話がかかってきた後、従業員個人の端末からコールバックするような場合があるでしょう。こうした場合、取引先に社員個人の電話番号が表示されると、取引先側は発信者を特定できず受信を拒否する可能性があります。さらに、従業員個人はプライベートな情報を外部に出したくないと感じるかもしれません。そのため会社の電話番号からの発信を検討することも考えましょう。

最終的に自社のリモートワーク導入の目的に沿った方法でポイントを参考にしつつ、対処すると良いでしょう。

最後に

コロナにより実施企業数が増えたリモートワークですが、実施した企業の経営者と従業員とのリモートワークの継続に対する意識のギャップが徐々に大きくなっています。

しかし、労働力不足に悩む企業はリモートワークを望む従業員側の意向を取り入れてリモートワークを実施することで中途採用で優位に立とうとしています。

リモートワークの導入に課題となっている一つに電話への対応がありますが、ここに挙げた5つの対応策を参考に、企業の経営戦略の遂行に欠かせない優秀な人材の確保のためにも、もう一度リモートワークの実施について考えてみましょう。

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